前眼部疾患
前眼部疾患
強膜(白目)の表面を覆っている結膜組織が過剰に増え、角膜(黒目)に進入してくる病気で、50歳以降の中高齢者に多くみられます。長年の紫外線暴露が関係しているのではないかといわれています。
「目がゴロゴロする」「異物感」などの自覚症状が感じられます。
また、結膜の部分はしばしば充血して赤く見えたりします。
自覚症状をとるために点眼薬を用いることはありますが、現在のところ進行を抑える薬はありません。
翼の部分が角膜中心まで伸びすぎると視力障害を引きこすので、ある程度進行したものは、手術で切除することになります。
角膜異物とは、角膜に異物が付着している状態をいいます。
原因は異物としては飛んできたほこり、鉄粉、植物の種子などがあげられます。
表面に付着しただけの異物は取り除くだけで問題はありませんが、万が一異物が角膜に刺さると感染を起こす場合があり、早めの受診が大切です。
また鉄粉が角膜に入ると錆(さび)が出るため除去する必要があります。
異物が目に入ったり、刺さったりし、異物感や目の痛み、涙が流れるなどの症状が見られましたら、早めに眼科へ受診し診察・治療を受けることをおすすめします。
まつ毛が内向きに生えて角膜にあたり、角膜に傷をつくります。
内向きになる原因には、まぶた自体が内向きにまくれ込んでいる場合と、まぶたには問題なく毛根からのまつ毛が乱れて内側を向く場合とがあります。
まつ毛を抜くと一時的に症状は改善しますが、またまつ毛が生えると同じことの繰り返しになります。また、逆さまつ毛の中には内反症をおこしているものがあります。
「内反症」とは、さかさまつ毛の一部で、上まぶた、下まぶたどちらにも生じます。
まつ毛がなんらかの原因で内側を向いてしまい、角膜や結膜に接触するために、眼痛や目やにを生じてしまうものを言います。
一般的には、まぶたは正常でまつ毛が内反は子どもや若年者に多く、まぶた全体が内反しているのは高齢者に多くみられます。
「外反症」とは、まぶたが外側にひっくり返り、まぶたの裏の結膜が出る状態をいいます。
ほとんどは外傷や病気の後遺症ですが、老人性のものや顔面神経麻痺のときにもみられます。重症の場合はまぶたが閉じなくなることもあります。
涙や目やにが出て、角膜に障害を起こすと異物感・まぶしさ・痛みなどが現れます。
眼瞼を閉じる筋肉が過剰に緊張して開きにくい状態です。まぶただけの異常の場合と、唇にも異常を伴う場合があります。
重症化すると、まぶたが下がる感じがし、さらには目を開けていられなくなります。
放っておくと、日常生活に大きな支障をきたす場合もありますので、このような症状がある方は早めの受診をおすすめします。発症の原因は完全には解明されていません。治療としては対症療法で、ボトックスによる注射が主な治療法です。
まぶたが上がりにくい(眼が十分開きにくい)状態のことを眼瞼下垂といいます。
後天性で多い疾患は老人性眼瞼下垂です。
加齢により眼瞼挙筋と瞼板や皮膚の間にある結合が弛緩しているといわれています。
その他の眼瞼下垂では、全身疾患の伴う動眼神経麻痺や重症筋無力症が隠れていることがあり、注意が必要です。
また、老人のなかには眼瞼皮膚のみひっぱると伸びきってしまうという眼瞼皮膚弛緩症もありますが、その場合には治療に余剰皮膚を切除するだけでも経過良好な場合があります。